
Not-eReaderとは中国DASUNG社の電子ペーパー(E-ink)端末です。
実機を入手したのでレビューしてみたいと思います。
スペック
Not-eReaderはMobile Phone Monitorと謳っていますが、その実体は7.8インチのE-ink Android端末です。
画面 | 7.8インチ E-ink |
---|---|
解像度 | 1,872 x 1,404 |
フロントライト | 暖色 / 寒色 |
RAM | 2GB |
ROM | 64GB |
CPU | Quad Core |
SDカードスロット | 有 |
OS | Android 6 |
重量 | 350g |
サイズ(mm) | 135.8 x 208.7 x x 9.3 |
充電 | USB Type-C |
映像出力 | Mini-HDMI / wifi |
音声出力 | 2チャンネルステレオスピーカー 3.5mmヘッドフォンジャック |
WIFI | 2.4/5 GHz デュアルバンド |
バッテリー | 5,600 mAh |
バイブレーション | 有 |
マイク | 有 |
言語設定しても一部に中国語が残る
Androidなので言語設定を日本語にできます。
しかし、日本語にしてもプリインストールされているMobile Phone Monitorアプリ(詳細は後述)などの一部の表示に中国語が残ります(英語設定ならすべて英語になります)。
英語設定にしても電源OFF時にカレンダーには中国語が残る
電源OFFでも表示を保持できるE-inkの特性を活かし、電源OFF時にはこの記事冒頭の写真のようにカレンダーが表示されています。
カレンダーは中国語(一部英語)で表示され、Androidの言語設定の影響は受けないようです。
このカレンダーを日本語や英語で表示させる方法もないようです。
E-inkなのにまともにスクロールができる
プリインストールされている「ブラウザ」を起動して適当なWebページを閲覧すると驚かされます。

他の電子ペーパー端末では画面書き換え速度が遅いためにまともなスクロールはできません。
BOOX Noteの標準ブラウザにはこの電子ペーパーのスクロール問題を回避するために「ページ送り」ボタンが追加されています。
しかし、Not-eReaderのブラウザはちゃんとスクロールができます。
DASUNGが「E-ink Turbo high-speed refresh technology」と呼んでいるE-inkの高速書き換え技術のおかげなのでしょう。
E-ink Turbo Techは一部でディザリングを使っているようですが、その内容はよくわかりません。
タッチ認識の不安を解消するバイブレーション
画面をタッチした時等に本体を振動させるバイブレーションモーターも搭載されています。
他の端末も含め電子ペーパーはタッチの感度が鈍くちゃんとタッチを認識したか否かわからないことも多いのですが、タッチ時にバイブレーションがあることで認識されていない不安はありません。
コントラスト調整・ゴースト消去
本体の上部にはコントラスト調整と残像クリアボタンがあります。

モノクロの電子ペーパーで画像など本来カラーのものを表示させると当然見づらい場合があります。
そうした場合にコントラストを調整して見やすくします。
また、電子ペーパーは書き換え時に残像が残ります。
基本的には自動でクリアされているようですが、ボタンで明示的にクリアすることができます。
ソフトウエアだけでなくハードウエアボタンでこれらの調整ができるのはとても助かります。
Google Play未対応
Google Playには未対応です。
DASUNGのある中国ではGoogleへのアクセスが規制されているため、一般販売されていない今の段階では仕方ないかと。
代わりにNot-eReaderにはAPKPureアプリがインストールされています。
APKPureとはAPKファイル(Androidアプリ本体のファイル)を扱うアプリストアです。
このAPKPureからAndroidアプリがインストールできます。
Androidアプリの動作状況
- Kindle
- Perfect Viewer
- Chromeブラウザ
- Googleニュース
- 他、問題なさそうなアプリ
Kindle
Kindleアプリはプリインストールされているのですが、日本のAmazonのアカウントではログインができませんでした。
プリインストールされているKindleは削除し、APKPureからインストールしたところ日本のAmazonのアカウントで問題なく使えています。
Perfect Viewer
ファイルソースプラグインもインストールしてDropboxの自炊本を読もうとしたところ、標準ブラウザではDropboxの認証ページが表示されませんでした。
Chromeブラウザなら認証ページが表示されました。
認証後はDropboxの自炊本をPerfect Viewerで直接読めています。
ただ、PDFプラグインはAPKPureの「インストール」ボタンがなぜか反応しないため、インストールできません。
Chromeブラウザ
Chromeへのログインボタンが反応せず、ログインができません。
ブラウジング自体は問題なくできます。
BOOX NoteのようなChromeで文字が掠れる問題もありません。
Googleニュース
GoogleニュースはGoogle開発者サービスが必要なのですが、APKPureからインストールできないため動作しません。
他、問題なさそうなアプリ
以下のアプリはとくに問題なさそうです。
- 楽天Kobo
- Evernote
- Dropbox
- ChMate
Mobile Phone Monitor
Mobile Phone MonitorとはiOS(iPhone/iPad)とAndroidの画面をNot-eReaderにミラーリングする機能です。
ミラーリングするには「Phone Monitor」アプリを起動します。

これらの写真は前述のAndroid言語設定を英語にして撮影しています。
言語設定が日本語だとアプリ名も「Phone Monitor」ではなく中国語で表示されています。
Androidをミラーリングする場合は画面左側の「START」を、iOSをミラーリングする場合は画面右側の「START」を押します。

AndroidとiOSとでは接続方法等が異なります。
Andoird | iOS | |
---|---|---|
接続方法 | 専用アプリ | AirPlay |
Not-eReaderでのタッチ操作 | 可能 | 不可 |
iOSではOS標準のAirPlayで接続します。
画面を下から上にスワイプしてコントールセンターを表示し、「画面ミラーリング」をタップすると簡単に接続できます。

こんな感じでiOSの画面がNot-eReaderに表示されます。

Not-eReaderの画面をタッチして操作することはできません(AirPlayの制約のためだと思われます)。
そのため、操作はNot-eReaderの画面を見ながらiPhoneやiPadをタッチして操作します。
対してAndroidではDASUNGが提供しているAndroidアプリを使って接続します。
iOS標準のAirPlayと違って、アプリを起動する手間がかかります。
Androidとの接続ではNot-eReaderの画面をタッチして操作できます。
しかし、直接Androidの画面をタッチするよりも反応は悪いです。
存在意義は・・・?
ほとんどのE-ink端末は「電子書籍リーダー(eReader)」として販売されています。
Kindle端末やKobo端末のような特定の電子書籍ストア専用の端末はもちろん「電子書籍リーダー」です。
しかし、Androidアプリをインストールして動かせるE-inkのAndroid端末もやはり「電子書籍リーダー」として販売されています。
その理由はE-iniの書き換え速度の遅さのせいでとても通常のAndroidのようには使えないためだと思われます。
そんななか、「Not-eReader」はまず名前からして「電子書籍リーダーではない」です。
電子書籍リーダーじゃなきゃ何かというと、DASUNGは「First E-ink Mobile Phone Monitor」と謳っています。
つまり、このMobile Phone Monitorを前面に出しているわけです。
たしかに、眩しいスマホの画面を目に優しい電子ペーパーで見れるのは便利です。
でもですよ、Not-eReaderでAndroidアプリを動かしたほうが表示も綺麗で快適、かつ接続の面倒もないのです。
それでもMobile Phone Monitorに存在意義を見出すとしたら以下のような点でしょうか。
- 自炊本はすべてスマホで管理している
- iOSにしかないアプリを使いたい
- Not-eReaderに個人情報を入れたくない
Mini PC Touchscreen Monior
Not-eReaderにはパソコンと接続するためのHDMIケーブルが同梱されてます。

ケーブルが二股になっているのはタッチ信号を伝達のためのUSBへの分岐です。
HDMIでMacの画面を表示させるとこんな感じです。

標準の解像度(1872×1404)では表示が小さすぎるので縦横とも半分の解像度にしています。
ちなみにMacは前述のAirPlayをサポートしているため、Mobile Phone Monitorでワイヤレス接続もできました。
Windowsとのワイヤレス接続方法は?
DASUNGはNot-eReaderはWindows 10とワイヤレスで接続でき、タッチ操作もサポートしているとしています。
しかし、そもそもWindowsとワイヤレス接続する方法がわかりません。
前述のMobile Phone MonitorのAndroid接続が実はMiracastレシーバーになっているのではと疑いました。
もし、そうであればWindowsのアクションセンターから「接続」をタップすればMiracastで接続できるはずです。

試してみたのですが、ダメでした。
そもそもMobile Phone MonitorがMiracastで実現されていればDUSUNGの専用アプリは不要のはずですし・・・。
Windowsとワイヤレス接続できれば、Windowsタブレットを目に優しい電子ペーパーで使えてとても嬉しいのですが・・・。
コメント
AccuBatteryで調べると、バッテリーが3500mAhくらいしか無いのですが、不具合なのか仕様なのか・・・