
調剤薬局に行くと勧められる「お薬手帳」。
服用中の薬を調剤薬局が記載することで飲み合わせや重複などのチェックができるとされています。
私はたくさんの薬を飲んでいるわけではないので特に必要なく、お薬手帳の記載には「薬剤服用歴管理指導料」として保険点数が必要なため、昔は拒否していました。
医療費の増大が問題になっているおり、医療費の抑制に協力するのは当然です。
お薬手帳を含む医療費は診療報酬制度によって定められています。
この診療報酬制度は2年おきの4月に改定されているのですが、お薬手帳関連の診療報酬改定は理解し難いものがあり、いつの間にかお薬手帳を拒否しても保険点数は変わらなくなったとか、いや拒否したほうが安いとか、一体何が本当なのかわからなくなってきます。
そこで、お薬手帳に無駄なお金(保険点数)を使わないために診療報酬の改定について整理してみます。
平成24年3月までは薬剤情報提供料だった
お薬手帳の保険点数は平成 24年3月までは、薬剤情報提供料とされていました。
薬剤情報提供は任意なので調剤薬局でお薬手帳を拒否すれば、保険点数15点(3割の自己負担なら45円)を支払う必要はありませんでした。
つまり、お薬手帳は拒否できました。
平成24年4月に薬剤情報提供料が廃止された
お薬手帳の保険点数であった薬剤情報提供料が平成24年4月に廃止されました。
では、薬剤情報提供=お薬手帳、ですからつまりお薬手帳が廃止されたかというとそうではありません。
どういう理屈でそうなるのかわからないのですが、お薬手帳の保険点数は薬剤服用歴管理指導料に含まれることになりました。
薬剤服用歴管理指導は任意でなく強制です。つまり、お薬手帳は拒否できなくなりました。
まあ、拒否できなくなっても、薬剤服用歴管理指導料に含まれた=お薬手帳が無料になった、ならよかったのですがそうではありません。
薬剤服用歴管理指導料は平成24年4月に従来の30点から41点に11点分値上げされました。
きっとこの11点が強制化されたお薬手帳の実質的な保険点数だったのでしょう。
お薬手帳が不要な人とその健康保険からも強制的にこの11点を徴収するという医療費増大を後押しするような改定でした。
どうもこの年の薬剤情報提供料廃止が迷走の始まりのようです。
平成26年4月に薬剤服用歴管理指導料が2種類となった
平成26年の診療報酬の改定では薬剤服用歴管理指導料が2種類存在するということになりました。
- お薬手帳記載有りの薬剤服用歴管理指導料(保険点数: 41点)
- お薬手帳記載無しの薬剤服用歴管理指導料(保険点数: 34点)
薬剤服用歴管理指導が強制なのは平成24年の改定と同じですが、お薬手帳記載有無によって保険点数が変わることになりました。
つまり、お薬手帳は拒否できるようになりました。なりましたというより平成24年3月以前と同じに戻っただけですが。
お薬手帳を拒否すれば保険点数を7点(3割の自己負担では20円)節約できました。
しかし、実際にはほとんど薬を飲まずお薬手帳が不要なのによくわからないから無駄な「お薬手帳記載有りの薬剤服用歴管理指導料」で医療費を増大させていた人は多いのではないでしょうか。
なぜ2種類の薬剤服用歴管理指導料などというわかりづらい制度にしたのでしょうか。
素直に平成24年の改定を覆し、薬剤服用歴管理指導料を復活させたのならまだわかるのですが。
平成28年4月から薬剤服用歴管理指導料の割引制度ができた
最新の診療報酬制度では薬剤服用歴管理指導料は「基本的に」50点(自己負担3割では150円)となりました。
つまり、お薬手帳代は高値更新となったわけです。
医療費増大が問題になっているご時世に本当におめでたいことです。
「基本的に」と書いたのは、もしお薬手帳持参で6ヶ月以内に同じ薬局で調剤していれば保険点数が38点(自己負担3割では110円)となるからです。
お薬手帳にその薬局限定のポイントが11点つくと考えるとわかりやすいでしょうか。 ポイントの有効期間が6ヶ月だから、ポイントが使えるうちに病院に行かなくっちゃ!
・・・なんてことを考える人がいないことを祈ります。
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