Windowsをターゲットとした開発案件では必須とも言えるのがVisual Studioです。
Visual Studioとはご存じの通り、Windowsのプログラム開発に必要なテキストエディタ、コンパイラ、デバッガなどを統合したIDE(Integrated Development Environment、統合開発環境)です。
Visual Studioと名のつく製品
「Visual Studio」と名のつく製品は大きく4種類あります。
内容 | プラットフォーム | 価格 | |
---|---|---|---|
Visual Studio Code (VSCode) | ソースコードエディター | Windows macOS Linux Webブラウザ | 無料 |
Visual Studio Community | Visual Studioの無償版 | Windows | 無料 |
Visual Studio for Mac | iOS / Android / Web開発IDE | macOS | 無料 |
Visual Studio | Windows開発用IDE | Windows | 有料 |
Visual Studio Code
Visual Studio Code(VSCode)は有料のIDE(統合開発環境)であるVisual Studioからソースコードエディタを分離した無料製品です。
Visual Studio Community
Visual Studio Communityとは有料のVisual Studioの無償版です。
以下のいずれかの条件に当てはまる場合にVisual Studio Communityを利用できます。
- 個人開発者
- PC250台未満かつ年商100万ドル未満の組織の最大5ユーザー
- オープンソースプロジェクト
- アカデミックな研究
- 学習環境のクラスルーム
Visual Studio for Mac
Visual Studio for Macはその名称からVisual StudioのMac版のような印象を受けますが、そうではありません。
Visual Studio for MacではWindowsアプリの開発はできません。
Visual Studio for MacはmacOSでiOS、Android、Webアプリを開発するためのIDEです。
Visual Studio
Visual Studioとは有料のIDEです。
ライセンスはユーザー単位です。
- 1ライセンスで1人のユーザーがVisual Studioをインストールできる。
- 1ユーザーで使うのであればVisual StudioをインストールするPCの台数に制限はない。
そのため、基本的に開発に参加するプログラマーの人数分だけライセンスが必要です。
Professional 2019 | Professional Subscription | Enterprise Subscription | Test Professional Subscription | ||
---|---|---|---|---|---|
ライセンス | 買い切り | サブスクリプション | |||
新規価格 | 64,131円 | 154,095円 | 770,991円 | 278,760円 | |
更新価格 | – | 102,687円 | 330,168円 | 115,539円 | |
Visual Studio IDE | 2019のみ | 全バージョン(サポート期限内のみ) | ☓ | ||
Visual Studio Team Services | 基本機能 | ☓ | ◯ | ◯ | ◯ |
Test Manager | ☓ | ☓ | ◯ | ◯ | |
パッケージ 管理 | ☓ | ☓ | ◯ | ☓ | |
Team Foundation Server | ライセンス | ☓ | ◯ | ◯ | ◯ |
Test Manager | ☓ | ☓ | ◯ | ◯ | |
パッケージ 管理 | ☓ | ☓ | ◯ | ☓ | |
クラウド サービス | Office 365 | ☓ | ☓ | ◯ | ☓ |
開発 / テスト用 ソフトウエア | Office Professional Plus | ☓ | ☓ | ◯ | ☓ |
Project | ☓ | ☓ | ◯ | ☓ | |
Visio | ☓ | ☓ | ◯ | ☓ | |
Windows OS | ☓ | ◯ | ◯ | ◯ | |
SQL Server | ☓ | ◯ | ◯ | ◯ |
Visual Studio Professional 2019のダウングレード権
現在のVisual Studioの最新版は2022ですが、Visual Studio Professional 2019はIDE本体を買い切りできます。
ただ、Windowsの開発では旧バージョンのVisual Studioで開発されたプロジェクトのメンテ、または旧バージョンで開発されたプロジェクトをビルドして挙動を確認したいなど、旧バージョンのVisual Studioを必要とする場面が多々あります。
買い切りでは最新の2022だけでなく、旧バージョンも使えません。
すでに旧バージョンのライセンスを持っていれば、Visual Studio 2019のダウングレード権を使うことで旧バージョンのライセンス数を増やすことはできます。
前述の通りVisual Studioはユーザー単位のライセンスですが、Visual Studio 2019を買い切ることで、手持ちの旧バージョンのVisual Studioを使えるユーザー数を増やせるということです。
しかし、そうしたライセンス管理はサブスクリプションに比べて手間がかかります。
サブスクリプションであればバージョンの概念はないため、単純にプログラマーの人数だけ契約し、もしプログラマーの人数が減ったら更新しないという単純な管理ですみます。
サブスクリプションライセンス
サブスクリプションとはソフトウエアを買い切るのではなく、一定期間(通常は1年間)使うための契約です。
Visual Studioサブスクリプションとは次の2つをセットにしたライセンスです。
- 全バージョンのIDE
- 1年間のマイクロソフトの開発サポートサービス(サブスクリプション)
IDEは永続ライセンスのため、製品を購入すると永続的に使用可能です。
それに対し、サブスクリプションは1年間で終了し、開発サポートサービスは使用できなくなります。
引き続きサブスクリプションも使用したい場合はVisual Studioサブスクリプションを「更新」で購入することになります(「新規」の価格より「更新」のほうが大幅に安くなっています)。
旧バージョンが使える
サブスクリプションライセンスでは旧バージョンのVisual Studioをダウンロードして使うことができます。
ただし、ダウンロード可能なVisual Studioはサポート終了していないバージョンのみです。
開発/テスト用ソフトウエアが含まれる
どのエディションのサブスクリプションにも開発/テスト用ソフトウエアが含まれます。
開発/テスト用ソフトウエアとはその名の通り、開発/テスト用のみに使えるライセンスのことです。
例えば開発用のSQL Server、テスト環境用のWindowsなどです。
開発/テスト用ソフトウエアを事務処理など開発/テスト以外の用途に使うのはライセンス違反となります。
Visual Studioでの開発ではテスト環境用のWindowsやSQL Serverなどが必要になるのが普通のため、それらを含むサブスクリプションを購入するのが普通です。
コメント
大変参考になりました。ありがとうございました。