
仕事でそれなりの量の文章を書く人ならパソコンでの執筆速度を少しでも速くしたいと考えたことがあるのではないでしょうか。
AZIKとは
AZIKとは出現頻度の高い音を少ない打鍵数で入力できるようにローマ字定義を拡張する仕様です。
AZIKを使うと通常のローマ字入力から大きな変更なしに日本語入力の打鍵数を減らすことができます(詳細は拡張ローマ字入力 AZIK 総合解説書を参照ください)。
gACT10
AZIKよりさらに効率良く日本語入力する仕様としてgACT10(解説書)があります。
gACT10ではQWERTY配列によるローマ字入力ではなく、Dvorak配列をベースにした母音と子音の組み合わせで入力します。
たしかにAZIKより入力効率はいいのでしょうが、ローマ字入力からの移行コストや何らかの事情でローマ字入力が必要になる場合を考えると躊躇してしまいます。
タイピングの最適化
逆にローマ字定義やキーボード配列は標準のまま、打ち方を最適化するアプローチもあります。
「タイピングの最適化」と呼ばれています。
拡張配列と打ち方
下図の赤字がAZIKの拡張配列です。
AZIK | 標準ローマ字 | ||||
---|---|---|---|---|---|
打ち方 | 打鍵数 | 打ち方 | 打鍵数 | ||
小さい「っ」 | ; | 1 | 次の文字の子音を連続 | 1 | |
ん | q | 1 | nかnn | 1〜2 | |
ー(長音記号) | : | 1 | – | 1 | |
しゃ行 | しゃ | XA | 2 | SHA | 3 |
しゅ | XU | SHU | |||
しょ | XU | SHU | |||
ちゃ行 | ちゃ | CA | CHA | ||
ちゅ | CU | CHU | |||
ちょ | CA | CHO | |||
撥音 | ANN | 子音 + Z | 子音 + ANN | 4 | |
INN | 子音 + K | 子音 + INN | |||
UNN | 子音 + J | 子音 + UNN | |||
ENN | 子音 + D | 子音 + ENN | |||
ONN | 子音 + L | 子音 + ONN | |||
二重母音 | AI | 子音 + Q | 子音 + AI | 3 | |
UU | 子音 + H | 子音 + UU | |||
EI | 子音 + W | 子音 + EI | |||
OU | 子音 + P | 子音 + OU | |||
外来語拗音 | てぃ | TGI | 3 | THI | 3 |
とぅ | TGU | TOLU | 4 | ||
でぃ | DCI | DHI | 3 | ||
どぅ | DCU | DOLU | 4 | ||
うぉ | WSO | WHO | 3 | ||
その他の頻出音 | 子音 + 子音 | 2 | 子音 + 母音 + 子音 + 母音 | 4 |
小さい「っ」
標準ローマ字では小さい「っ」を子音の連続として入力します。
例えば「あった」はA;TAと入力します。
しかし、AZIKでは後述の撥音と二重母音に子音の連続を割り当てています。
例えばAZIKではZZと入力すると「ざん」となります。
そのためか、AZIKでは小さい「っ」は;で入力します。
AZIKは基本的にはローマ字入力と互換なのですが、残念ながらこの小さい「っ」は互換性がありません。
長音記号
長音記号(ー)は–(マイナス記号)でなく、:で入力します。
どちらでも同じ1打鍵ですが、キーボードの最上段にある–(マイナス記号)は打ちづらいからだと思われます。
ん
「ん」は標準ローマ字ではNの1打鍵か、NNの2打鍵です。
2打鍵必要になる条件は「ん」の次に打鍵するのがN、Y、A、I、U、E、Oの場合です。
その条件を考慮してNの1打鍵との2打鍵を打ち分けるのは難しく、2打鍵すべき「ん」を1打鍵で次の打鍵に進むとミスタイプとなります。
そのため、「ん」はすべて2打鍵で入力している人も多いのではないでしょうか。
AZIKでは「ん」は次の打鍵に関係なくQの1打鍵で入力します。
しゃ行とちゃ行
頻出する「しゃ しゅ しょ ちゃ ちゅ ちょ」はローマ字入力では3打鍵必要ですが、AZIKなら2打鍵で入力できます
撥音
撥音(はつおん)とは「ん」の音です。
AZIKでは撥音の打鍵数を減らすことができます。
例えば「かん」はローマ字入力ではKANNの4打鍵ですが、AZIKではKZと2打鍵で入力できます。
すべての撥音キーが母音キーの右下のため覚えやすいです。
二重母音
日本語で頻出する二重母音の打鍵数を減らせます。
例えば「さい」はローマ字入力ではSAIの2打鍵ですが、AZIKならSQの2打鍵で入力できます。
撥音と違い、AZIKで拡張されている二重母音は頻出する以下のみでキー位置も撥音のようにわかりやすくはありません。
二重母音 | キー配置 |
---|---|
AI | 母音(A)の左上(Q) |
UU | 母音(U)の右下(H) |
EI | 母音(EI)の左(W) |
OU | 母音(O)の右(P) |
外来語拗音
外来語でよく使われる「てぃ」、「でぃ」、「うぉ」は標準ローマ字ではそれぞれTHI、DHI、WHOです。
しかし、AZIKではHを前述の二重母音に割り当てているため、「てぃ」、「でぃ」、「うぉ」はTGI、DCI、WSOになります。
Tの右下がG、Dの右下がC、Wの右下がSという連続打鍵しやすい位置になっています。
その流れで「とぅ」と「どぅ」がAZIKでは3打鍵で入力できます。
その他の頻出音
以下の2文字の頻出音をAZIKでは中間の母音を省略し「子音+子音」の2打鍵で入力します。
標準ローマ字では「子音+母音+子音+母音」の4打鍵が必要です。
AZIK | 標準ローマ字 | |
---|---|---|
かも | KM | KAMO |
から | KR | KARA |
がら | GR | GARA |
こと | KT | KOTO |
ごと | GT | GOTO |
ざる | ZR | ZARU |
した | ST | SITA |
する | SR | SURU |
たち | TT | TATI |
だち | DT | DATI |
たび | TB | TABI |
ため | TM | TAME |
たら | TR | TARA |
AZIK | 標準ローマ字 | |
---|---|---|
です | DS | DESU |
でも | DM | DEMO |
なる | NR | NARU |
にち | NT | NITI |
ねば | NB | NEBA |
ひと | HT | HITO |
びと | BT | BITO |
ます | MS | MASU |
また | MT | MATA |
もの | MN | MONO |
よる | YR | YORU |
られ | RR | RARE |
わた | WT | WATA |
われ | WR | WARE |
設定方法
AZIKは以下の手順で設定できます。
WindowsでもMacでも設定可能です。
Google日本語入力をインストールします。
Google日本語入力用のローマ字テーブルファイル(azik.txt)をダウンロードします。
「Google日本語入力環境設定」を開き、「ローマ字テーブル」の「編集」をクリックします。

「Google日本語入力ローマ字設定」画面で「編集」-「インポート」を選択します。

「現在のローマ字テーブルを上書きしますか?」の確認メッセージが表示されるので「OK」をクリックします。
ダウンロードしたローマ字テーブルファイル(azik.txt)を選択します。
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