Windowsには一般的なWindows PCに搭載されているIntel版とCopilot+ PC(NPUというAIプロセッサ搭載のPC)などに搭載されているARM版があります。
Appleシリコン(M4/M3/M2/M1)MacはARM系CPUのため、Parallels DesktopではARM版を使います。
ARM版Windwos搭載PC
ARM版Windows搭載したPCはそれほど多くはないのですが、マイクロソフトのSurfaceの現行モデルはすべてARM版です。
つまり、最新のSurfaceを購入するとARM版Windwosのデメリットに直面することになります。
ARM版のデメリットは受け入れられないがSurfaceがいいといい人は型落ちのIntel版Surfaceを買いましょう。
デメリット一覧
ただ、ARM版WindowsはIntel版Windowsに比べて以下の制限があります。
- x64アプリのパフォーマンスが悪い
- Google日本語入力が使えない
- VPNクライアントアプリが使えない
- Intel版Windowsのドライバが使えない
- Intel版Windowsのプリンタドライバが使えない
- Intel版専用のPDFアプリが使えない
- Intel版Windows用のスキャナドライバが使えない
- DirectX 12とOpenGL 3に未対応
- Windowsの手動アップデートができない
- Windows FAXとスキャンのアプリがない
- Dropboxアプリが未対応
- 仮想化機能が使えない
x64(64bit)アプリのパフォーマンスが悪い
ARM版WindowsでもIntel版Windows向けのアプリをエミュレーションで実行できます。
Intel版のアプリにはx86(32bit)アプリとx64(64bit)アプリの2種類があります。
x86(32bit)版はARM版Windowsでも特に問題なく使えます。
しかし、x64(64bit)アプリはARM版のWindows 11ではパフォーマンスが落ちます。
また、ARM版のWindwos 10ではそもそもx64(64bit)アプリが使えません。
Google日本語入力が使えない
ARM版WindowsではGoogle日本語入力はインストールできません。
現在、ARM版Windowで使えるIMEは標準のMS-IMEだけです。
Intel版Windowsのドライバが使えない
ARM版WindowsはIntel版WindowsアプリをARM CPU向けに変換して実行できます。
しかし、Intel版ドライバをARM CPU向けに変換することはできません。
そのため、Intel版ドライバを使うアプリは動作しません(ARM版のドライバが提供されていれば使えますが……)。
Intel版Windowsのプリンタドライバが使えない
メーカー純正のプリンタドライバが必要なプリンタはARM版Windowsでは使えません(ARM版のプリンタドライバが提供されていれば使えますが……)。
さらにMacのParallels DesktopでARM版Windowsを使う場合はMacに接続されたプリンタをWindowsに共有できるため、この問題を回避できます。
いきなりPDFが使えない
PDFアプリもPDF生成用の仮想プリンタドライバーを使います。
日本でシェアが高いPDFアプリであるいきなりPDFはインストールが途中で止まってしまいます。
Intel版Windows用のスキャナドライバが使えない
メーカー純正のスキャナドライバが必要なプリンタはARM版Windowsでは使えません(ARM版のスキャナドライバが提供されていれば使えますが……)。
まあ、スキャナはMacに接続できますので、わざわざParallels DesktopのWindowsに接続する意味はあまりないと思いますが……
DirectX 12とOpenGL 3に未対応
ARM版WindowsはDirectX 11までは対応していますが、DirectX 12には未対応です。
そのため、DirectX 12を要求する新しめのゲームは遊べません。
OpenGLは3までのサポートで3.3は未対応です(Parallels Desktop 19はOpenGL 4.1をサポートしています)。
また、ゲームのアンチチートソフトウェアにはドライバを使うものがありますが前述の通り、ARM版WindowsではIntel版ドライバが使えないため、そのようなアンチチートソフトは動作しません。
そうしたARM版Windowsにおけるゲームの互換性情報はWindows on Arm Ready Softwareで提供されています。
Windowsの手動アップデートができない
Windows UpdateにWindows 11 23H2が表示されない場合、Intel版Windowsなら以下のいずれかの手段で手動アップデートできます。
- インストールアシスタント
- メディア作成ツール
- ISOファイルのダウンロード
しかし、インストールアシスタントもメディア作成ツールもARM版Windowsでは動作しません。
ARM版WindowsのISOファイルは配布されていません。
そのため、Windows Updateにアップデートが来ない場合に手動アップデートする手段がありません。
Windows FAXとスキャンのアプリがない
Intel版Windowsには「Windows FAXとスキャン」というアプリがあります。
FAXモデムを使ってFAXを送受信できるアプリです。
しかし、今どきFAXモデムを持っている人がいるのでしょうか? そもそもFAXを使う人がいるのでしょうか。
そんな状況のためかWindows 10まではプリインストールされていたのですが、Windows 11ではオプション機能(ユーザーが任意でインストールする)扱いになっています。
ARM版Windowsではそのオプション機能にも含まれていません(前述のスキャナドライバの問題と関係するかもしれません)。
なくても困る人は少なそうですが。
Dropboxアプリが未対応
Dropboxのデスクトップアプリをインストールしようとしても
と表示され、使えません。

上図の通り、Sモード版Dropboxなら使えるのですが、Sモード版はDropboxのビューワでしかなくローカルファイルの同期はできません。
回避策としてはParallels DesktopにはMacで使っているオンラインストレージ(iCloud、Dropbox、Google Drive)をWindowsのネットワークドライブに割り当てる機能があります。
仮想化機能が使えない
Parallels Desktop上のWindowsでは仮想化を使う以下のような機能やアプリは使えません。
- Google Play Games on PC
- Windows Subsystem for Linux (WSL)
- Windowsサンドボックス
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