
クラウドストレージ(cloud storage)とはパソコンやスマホなどのファイル(写真、文書、音楽など)をインターネットのサーバーに保存するサービスです。
オンラインストレージ(online storage)とも呼ばれます。
クラウドストレージの特徴
わざわざインターネット上にファイルを保存するメリットは何でしょうか。
ファイルならUSBメモリやパソコン内のハードディスクなどの記憶装置に簡単に保存できます。
にもかかわらずクラウドストレージを使うのは以下のようなメリットがあるためです。
- 記憶装置が壊れてもファイルが失われない。
- スマホや異なるパソコンなどとファイルを共有できる。
- 複数人でファイルを共有できる。
記憶装置が壊れてもファイルが失われない
USBメモリもパソコンのハードディスクなどの記憶装置はいつか必ず壊れます。
とくにハードディスクは内部で磁気ディスクをモーターで高速回転させるという構造のため、平均4年程度で寿命を迎えます。
つまり、記憶装置の故障に備えてファイルを「バックアップ」しておく必要があります。
そして記憶装置が故障したら、バックアップしたファイルを新しい記憶装置に復元します。
しかし、ファイルのバックアップは面倒です。
ちゃんとファイルをバックアップしている人が一体、どれだけいるでしょうか?
たとえ記憶装置が壊れても当然クラウドストレージ上のファイルが失われることはありません。
スマホや異なるパソコンなどとファイルを共有できる
- パソコンにある動画をスマホで観たい。
- スマホで撮影した写真をパソコンで観たい。
- WordやExcelのファイルを別のパソコンで編集したい。
こうしたことはスマホとパソコンをケーブルで接続したり、USBメモリでファイルをやりとりしたりすればできなくもありませんが、面倒です。
クラウドストレージにファイルが保存されていれば、あるパソコンで保存したファイルはスマホでもすぐに見ることができます。
複数人でファイルを共有できる
会社などでは社内サーバーの特定フォルダのファイルを複数の人が編集しながら仕事を進めることがよくあります。
クラウドストレージでも同じように特定のフォルダを複数人で共有することができます。
社内サーバーを社外から使うのはネットワークの設定等が大変ですが、クラウドストレージなら社内か社外かに関係なくそうした共同作業が簡単にできます。
クラウドストレージの比較
プラン | 容量 | 年払料金 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
Dropbox | Dropbox Plus | 2TB | 15,840円 | 対応アプリが多い |
Basic | 2GB | 無料 | ||
OneDrive | Microsoft 365 Personal | 1TB | 12,984円 | マイクロソフトOfficeが使える |
無料 | 5GB | 無料 | ||
Google One | 2TB | 13,000円 | 利用規約を受け入れられるか? | |
200GB | 3,800円 | |||
100GB | 2,500円 | |||
無料 | 15GB | 無料 |
写真と音楽ファイル
クラウドストレージの容量を比較する前にちょっとだけ。
クラウドストレージに保存したいファイルのほとんどが写真か音楽ファイル(MP3やAAC等)という人は多いのではないでしょうか。
この2つについてはAmazonプライム(またはその学生版のAmazon Student)を利用すると容量を気にする必要がなくなります。
写真なら無制限
Amazonプライムのサービスの1つにAmazonプライムフォトという写真専用のクラウドストレージがあります。
JPG(一般的な写真ファイル形式)に加え、RAW(高級デジカメ等で使われているサイズの大きな写真ファイル形式)までも無制限に保存できる写真専用のクラウドストレージです。
このAmazonプライムフォトに写真を保存することにすれば、一般の(写真専用でない)クラウドストレージに必要な容量はごっそり減らせるのではないでしょうか。
配信される音楽を持っておく必要はない
AmazonプライムにはAmazon Prime Musicという音楽配信サービスも含まれています。
Amazonのクラウドに保存されている音楽をストリーミング(ファイルをダウンロードすることなく)再生することができます。
車で音楽を聴くのも簡単です。
つまり、Amazonプライム(またはPrime Student)会員であれば、Amazon Prime Musicにある曲をわざわざ自分でファイルとして保存しておく必要はないのです。
ただ、Amazon Prime Musicが200万曲聴き放題とはいってもにない曲はあり、そうした曲だけは自分でファイルとして持っておく必要がありますが。
それでも音楽ファイルのためにクラウドストレージに必要な容量はかなり減らせるのではないでしょうか。
高ければ話は別ですが……
Amazonプライムの料金は年間4,900円、月あたり409円です。
学生版のPrime Studentなら年間2,450円、月あたり205円です。
写真の無制限保存と200万曲聴き放題以外にもAmazonプライムビデオなどさまざまなメリットがあります。
料金が高ければ話は別ですが、この金額でこの内容であればAmazonプライムに写真と音楽ファイルを「逃がす」ことは十分に検討に値するのではないでしょうか。
高速で定番のDropbox Plus
クラウドストレージの先駆けと言えばDropboxで、現在でもクラウドストレージと聞いて多くの人が思い浮かべるのがDropboxです。
同期速度や対応アプリ数でもOneDriveやGoogle Driveを凌ぎます。
無料のBasicプランは容量が2GBしかないため事実上使い物になりません。
さらにBasicプランでは同期できるデバイス(スマホやパソコンなど)も3台までです。
しかし、Dropbox Plusであれば2TBの容量が使えます。
同期できるデバイスも無制限です。
Dropboxはファイルの同期も速く、対応アプリも多く定番中の定番です。
1TB OneDrive + マイクロソフトOffice = Microsoft 365 Personal
Microsoft 365 Personalとは1TBのOneDriveとマイクロソフトOfficeが使えるサービスです。
OneDriveとはマイクロソフトのクラウドストレージです。
Windowsに統合されたOneDrive
マイクロソフトはなんとOSであるWindowsにクラウドストレージであるOneDriveを統合してしまいました。
DropboxもGoogle OneもWindowsに対応していますが、アプリをインストールしなければ使えません。
それに対して、Windows 8以降のWindowsに普通にファイルを保存すると何もしなくてもOneDriveに保存されます。
そのため、知らない間にOneDriveを使っている人も多いと思います。
だからといってOneDriveはWindows専用というわけではなく、MacでもAndroidでもiOSでも使えます。
このOneDriveは無料だとわずか5GBの容量しかないのですが、Microsoft 365 Personalを購入することで1TB(1024GB)に増えます。
Microsoft 365 PersonalならマイクロソフトOfficeがおまけについてくる
Google OneではマイクロソフトOfficeのような「Googleドキュメント」というアプリを使うことができます。
しかし、GoogleドキュメントはあくまでGoogle One上のファイルだけを編集できるWebアプリにすぎません。
それに対してOneDrive(Microsoft 365 Personal)にはなんと本物のマイクロソフトOfficeがついてきます(OneDriveの無料プランにはついてきませんので注意)。
本物のOfficeですからOneDriveに保存したWordやExcelのファイルはもちろん、ハードディスク上のWordやExcelファイルも編集できます。
このマイクロソフトOffice + OneDriveの組み合わせはMicrosoft 365 Personalと呼ばれます。
Microsoft 365 Personalとは年単位で1TBのOneDriveとマイクロソフトOfficeのすべてのアプリ(Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Access、Publisher)を使える契約のことです。
しかも、WindowsでもMacでも使うことができます。
1TBのOneDriveがおまけなのかマイクロソフトOfficeのほうがおまけなのかよくわかりませんが、本物のマイクロソフトOfficeが事実上タダで使えるというわけです。
マイクロソフトOfficeなら購入したパソコンに付属していたよ、という人もいるかもしれません。
しかし、パソコンに付属のOfficeはPowerPoint等が含まれない廉価版ではないでしょうか。
しかも最新バージョンではないのではないでしょうか。
Microsoft 365 Personalでは以下のOfficeアプリの最新バージョンをWindowsかMacに無制限にインストール(同時ログインは2台まで)して使うことができます。
- Word
- Excel
- PowerPoint
- Outlook
- Access (Windowsのみ)
- Publisher (Windowsのみ)
マイクロソフトOfficeとクラウドストレージの両方必要ならMicrosoft 365 Personalがお得です。
Googleの利用規約は受け入れられるか?
無料でクラウドストレージを使いたいと考えている人にとって、15GBを無料で使えるGoogle Oneは魅力だと思います。
しかし、Googleの利用規約には以下の記述があります。
本サービスにユーザーがコンテンツをアップロード、提供、保存、送信、または受信すると、ユーザーは Google(および Google と協働する第三者)に対して、そのコンテンツについて、使用、ホスト、保存、複製、変更、派生物の作成(たとえば、Google が行う翻訳、変換、または、ユーザーのコンテンツが本サービスにおいてよりよく機能するような変更により生じる派生物などの作成)、(公衆)送信、出版、公演、上映、(公開)表示、および配布を行うための全世界的なライセンスを付与することになります。
つまり、Google Oneにファイルをアップロードするということは、Googleにそのファイルを全世界に配布するライセンスを付与することになるのです。
この利用規約を受け入れられるでしょうか?
とくに仕事でクラウドストレージを使うつもりなら、この規約はかなり難しいものがあるのではないでしょうか。
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